故郷・黒石市への恩返しと、次世代への願い

おかげさまで、当社・株式会社クラウドマーケティングは前期、創業以来となる過去最高の利益を計上することができました。

日頃から当社のサービスをご利用くださっている受講生の皆さま、そして事業を支えてくださるすべての方々のおかげです。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

そして利益が過去最高を更新したということは、当然ながら、納税額もまた過去最高になります。正直に申し上げれば、これまで自分が見たことのない金額を、これから国と地域に納めることになりました。

数字を前にしたとき、私の中に湧いてきたのは「負担」という感情ではありませんでした。むしろ、「ようやくここまで来られた」という静かな手応えと、「この利益を、どう社会に還していくか」という前向きな問いでした。

今日はそのことを、少し長くなりますが、一人の事業家としての本音とともに綴らせていただきたいと思います。

過去最高の納税額のゆくえ

事業をやっていると、「税金は少しでも減らしたい」という声を、あちこちで耳にします。もちろん、適正な節税は経営判断として当然のことですし、私自身も無駄を払うべきだとは思いません。インボイス制度や各種の優遇措置を正しく理解し、合法的に最適化していくのは、経営者の責務でもあります。

しかし、その大前提として、私には揺るがない一つの考えがあります。それは、利益を出した分だけ、きちんと社会に納める。それは事業家として果たすべき責任であり、同時に誇りでもある、ということです。

税は、私たちが暮らす社会を支えるための原資です。道路も、教育も、医療も、防災も、誰かが負担した税によって成り立っています。

利益を出せる立場に身を置けたのなら、その果実の一部を社会に戻していくのは、ごく自然なことだと私は考えています。納税額が増えたという事実は、裏を返せば、それだけ社会に対して貢献できる余地が広がったということでもあるのです。

この感覚は、実は私が投資教育の現場で受講生の皆さまにお伝えしていることと、根っこのところで深く繋がっています。私がいつもお話しするのは、「誰かに依存するのではなく、自立した投資家であれ」ということ。

自分の頭で考え、自分の判断で行動し、その結果に責任を持つ。利益にも損失にも、言い訳をせず自分で向き合う。その覚悟がある人だけが、相場という厳しい世界で長く生き残っていけます。

福沢諭吉は「独立自尊」という言葉を遺しました。他人に頼らず、自らの判断と力で立ち、自らの尊厳を保つ。

私はこの精神こそ、投資家にとっても、事業家にとっても、最も大切な土台だと考えています。自立した者だけが、本当の意味で他者を助けることができる。まずは自分の足でしっかりと立つ。その上で、余力を社会へと差し向けていく。この順序を、私は常に意識しています。

事業も、まったく同じです。利益には、必ず責任が伴います。だからこそ、過去最高益という結果を、私は決して浮かれた気持ちではなく、むしろ襟を正す思いで受け止めています。大きな利益を手にしたということは、それだけ大きな責任を、社会から託されたと考えております。

 

企業版ふるさと納税とその意義

そうした中で、今回、その納税の一部を「企業版ふるさと納税」という形で、私の故郷・青森県黒石市へ納めさせていただきました。

企業版ふるさと納税(正式名称は「地方創生応援税制」)とは、企業が自治体の地方創生に資するプロジェクトへ寄付を行った際に、税制上の優遇を受けられる制度です。

通常の損金算入に加えて税額控除が上乗せされ、条件が整えば最大で寄付額のおよそ9割が軽減される仕組みになっています。つまり、企業にとっての実質的な負担を大きく抑えながら、その何倍もの資金を、応援したい地域へ確実に届けることができるのです。

この制度の優れている点は、単なる「寄付」で終わらないところにあります。寄付先は、自治体が地方創生のために具体的に立てたプロジェクトです。だからこそ、自分が応援したお金が、どの地域の、どんな目的のために使われるのかが見えやすい。

漠然と納めるのではなく、「この町の、この未来のために」という意思を込めて資金を託せる。私のように、明確に応援したい故郷を持つ事業家にとって、これほど意義深い仕組みはありません。

私は個人としてのふるさと納税は、毎年いろいろな自治体に対して取り組んできました。返礼品を楽しみながら、各地の特産品に触れ、その土地を応援する。あの感覚が好きなのです。けれども、会社として行う「企業版」のふるさと納税は、今回が初めてでした。

個人の寄付と企業の寄付では、金額の桁も、そこに込められる意味の重みも、まったく違います。会社の名前で、会社が生み出した利益から、故郷へまとまった資金を送る。

その一歩を踏み出せたことに、私は経営者として、確かなひとつの節目を感じています。長年「いつかは」と思い描いてきたことが、ようやく現実になった瞬間でした。

 

課題を抱える故郷に貢献

私には、ずっと心の中に温めてきたリストがあります。

「いつか事業で利益を出せたら、必ずやってみたい」

そう思い描いてきたことの数々です。その中でも、ひときわ大切に書き留めていた項目のひとつが、地元への寄付でした。

私が生まれ育った青森県黒石市は、江戸時代から続くこみせ通り。軒先のアーケード状の通路が雪や日差しから人々を守ってきた、全国でも珍しい歴史的な町並みに代表される、風情ある土地です。

夏には勇壮なねぷたが町を練り歩き、秋には津軽のりんごが赤く実り、温泉郷では昔ながらの湯けむりが立ちのぼる。津軽の文化と人情が、今も色濃く息づいています。

子どもの頃に見た雪景色、近所の大人たちにかけてもらった温かい言葉、季節ごとの祭りや行事。私という人間の土台は、まぎれもなく、この黒石の風土の中でつくられました。

歴史をたどれば津軽の地には数百年にわたる人々の営みが積み重なっており、その長い時間の延長線上に、今の自分が生かされているのだと感じます。

その一方で、黒石市もまた、地方が共通して抱える厳しい現実と無縁ではありません。人口減少、少子高齢化、若い世代の流出、地域産業の担い手不足。

こうした課題は一朝一夕には解決できるものではなく、早急に手を打たなければならない社会課題が、いくつも横たわっています。

かつて賑わいを見せた商店街にも、時代の変化の波は確実に押し寄せています。ふるさとを愛する一人として、その現実から目をそらすことはできません。

東京で事業を営みながらも、私の心はいつも故郷とともにあります。

遠く離れた場所から「いつか必ず恩返しを」と思い続けてきた者として、今回ようやく、その思いを具体的な形にできたことを、心から嬉しく、そして誇らしく思っています。お世話になった土地へ、ささやかでも確かな形で何かを返せる。

それは、事業を続けてきたからこそ得られた、何ものにも代えがたい喜びです。

次世代の子どもたちへ継承

今回の寄付に、私は二つの願いを込めました。

ひとつは、いただいた資金を、これからの黒石市の発展に確かにつながる使い方をしていただくこと。一時的な穴埋めではなく、未来への投資として活かされてほしいという願いです。

そしてもうひとつ。こちらの方が、私にとってはずっと大切な願いなのですが「この寄付が、次世代を担う子どもたちへと受け継いでいけるものになること」です。

私自身、一人の親として、子の世代、そしてその先の孫の世代のことを考えずにはいられません。

今を生きる私たち大人の役割は、自分たちの世代で何かを使い切ってしまうことではなく、預かったものをよりよい形にして、次の世代へ確かに手渡していくことだと思うのです。先人たちが私たちにそうしてくれたように、今度は私たちが、未来の子どもたちのために土を耕す番なのです。

黒石に生まれ育つ子どもたちが、「この町に生まれてよかった」と胸を張れる未来。何かに挑戦したいと思ったときに、その背中をそっと押してくれる環境。

都会に出ていくだけでなく、「いつか故郷で挑戦したい」と思える選択肢のある地域。そんな土壌づくりの、ほんの小さな一粒の種にでもなれたなら、これ以上の喜びはありません。すぐに芽は出ないかもしれません。

けれども、種をまかなければ、未来の実りも決してありません。そんな思いを込めて、今回の寄付をさせていただきました。

 

先祖が同じ高樋憲市長とのご縁

寄付をさせていただいた後日、黒石市の高樋憲市長から直々にご連絡をいただき、感謝状を頂戴いたしました。お忙しい中、わざわざお時間を割いてくださったことに、深く感謝しております。

そして、ここで一つ、私にとって不思議で、どこか運命的にも感じられるご縁についてお話しさせてください。

実は、この高樋市長は、私の遠い親戚にあたります。家系をたどっていくと、私の家は江戸時代後期の高樋家から派生した流れにあり、6代ほど前の先祖が市長と同じだというのです。

子どもの頃から、冠婚葬祭の場などで市長のお姿をお見かけすることはありました。しかし、こうしてじっくりとお話をさせていただいたのは、今回が初めてでした。

何代も前で枝分かれした家系が、時を経て、故郷への寄付という形で再び交わる。そんなご縁の巡り合わせに、言葉では言い尽くせない感慨を覚えています。

人と人、家と家、そして人と土地のつながりというものは、自分が思っている以上に深く、長く続いているのだと、あらためて教えられた思いです。

 

利益を通じて還元し続ける

近江商人に「三方よし」という言葉があります。

「売り手よし、買い手よし、世間よし」

商いとは、自分が儲かればよいのではなく、関わるすべての人と社会全体が豊かになって初めて成り立つ、という考え方です。

また、企業は社会からお預かりした資源を活かす「社会の公器」である、という見方もあります。私が事業を通じて大切にしたいのは、まさにこうした精神です。

利益を上げることは、決してゴールではありません。それは、より大きな貢献を可能にするための「手段」です。

事業で結果を出し、しっかりと納税し、その上で、故郷へ、社会へ、そして次の世代へと、得たものを循環させていく。

お金は、ただ貯め込むためにあるのではなく、意味のある場所へ流していくことで初めて生きるのだと、私は信じています。その健全な循環をつくり続けることこそが、私が事業家として歩みたい道なのだと、今回の経験を通じてあらためて確信しました。

投資の世界でも、本当に強い投資家は、目先の利益だけを追いません。

長期的な視点で、社会の大きな流れの中に自分の資産を位置づけ、世の中の成長とともに自らも成長していく。

事業もまた同じです。自社の利益と、社会の利益。その両方が重なり合う一点を探し続けることが、これからの時代の経営者に求められているのだと思います。

これからも私は、事業家として、利益を通じて故郷へ、そして社会へ還元していく活動を続けてまいります。

今回の企業版ふるさと納税は、その長い道のりの、ほんの第一歩にすぎません。これからもっと事業を成長させ、より大きな形で恩返しができるよう、気を引き締めて精進してまいります。そしていつか、今回まいた小さな種が、黒石市の未来で芽吹き、花を咲かせる日が来ることを、心から願っています。

最後になりますが、私という人間を育ててくれた黒石市の皆さま、そしていつも当社を支えてくださるすべての皆さまへ。

心からの感謝を込めて。本当に、ありがとうございます。

株式会社クラウドマーケティング

代表取締役 福士健太郎